小谷元彦展「幽体の知覚」 at:森美術館

昨年上野の森で開催された「ネオテニー・ジャパン」高橋コレクション展で
赤いグミを握りつぶした手の少女が虚ろな目で横たわる「ファントム・リム」や
オオカミの剥製のドレス「ヒューマンレッスン」を目にした人も多いだろう。

「幽体=ファントム」と定義付け、彫刻という手法を用いり
どこか破滅的で規則的かつ緻密な作品の数々が一挙に揃う
森美術館で開催中の現代彫刻家小谷元彦の展覧会。




人毛のドレス、風化した石のようにも針山にも見える蝋のスカル、
蕁麻疹のような支柱。
小谷氏の作品のモチーフは「幽体」だけに
破滅的で、拷問器具の影響も垣間みれるが、決して痛みは感じない。
恐怖に慄くことのない品位がある。
人間の深層心理にある恐怖感や、喪失感を煽る作品ながらも
美しくその完成度の高さについ見とれてしまうのは
どこか希望を感じることが出来るからであろう。

展示作品のメインの一つのインスタレーション「インフェルノ」は
パラレルワールドの入口だった。
滝が変則的にスピードを変え流れ落ちるスクリーンに四方を囲まれ
上下を鏡に挟まれた空間は、
下を覗けば地獄へ落ちていくような恐怖を感じ、
とっさに顔を上げ、天井を眺めても希望は得られない。
だけど、地面との境を覗き込むと、滝が逆上し浮遊感が得られ
天国へとワープ出来る隙間を見つけたような気持ちになり、五感を弄ばれる。

我々団塊ジュニア世代は、個性個性と言われ育ち、
POPでユーモアを感じる類いのものに惹かれがちである。
しかし、小谷氏の作品は彼なりのPOPさやユーモアがあったとしても
スケールの大きさや作品の持つテーマ性から、
単に「面白い」と片付けることは出来ない。
それは、本来、芸術家としてのあるべき姿を
小谷氏自身が作品を通して模索し、真摯に向き合い、
特別な人しか有する事の出来ない卓越した表現力と
美意識をもって具現化しているからだ。

芸術家とはこうあって欲しい。
POPカルチャーにもそろそろ飽きたのか、五感を翻弄される作品に出会いたい。

今、森美術館には、エレガントで新たしい神秘が、
神話となって白い世界に広がっています。

小谷元彦展「幽体の知覚」
@森美術館 2011年2月27日(日)まで。


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by namunamu_pokkun | 2010-12-13 23:02 | アートのおはなし


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